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医療政策

執筆諸々、再始動のご報告(No.33)

 2021年5月10日以降、ホームページのリニューアルなどの作業も重なり、フォーラムの更新が成されておらず、誠に申し訳ございませんでした。

そして、私自身は、2020年5月28日から2021年3月20日まで、急性骨髄性白血病治療のため、入院しておりました。このコロナ禍のなか、無菌室という安全な部屋に避難し、過酷な治療に耐え、無事寛解となり退院いたしました。退院後は昨年末までリハビリに励み、2022年1月社会復帰いたしました。今後もよろしくお願い致します。なお、その入院を通して、私が直接見て、感じた自治体病院のコロナへの対応の様子を「新型コロナウィルスとの闘いⅡ 看護師が見たパンデミック」(2021年7月28日発行)に記しておりますので、是非ご一読、よろしくお願いいたします。

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 昨年12月、厚生労働省は2022年度診療報酬改定で、本体部分を0.43%引き上げ、看護師の処遇改善等の財源を確保するとしました。しかし、一方で、薬や診療材料の公定価格「償還価」を1.37%引き下げ、全体としては0.94%のマイナス改定となりました。全体がマイナス改定で、果たして看護師の処遇改善等の財源が確保できるのでしょうか?その発想が不思議でならないのは私だけなのでしょうか?人の生活に照らすと、基本給は上げるがその他手当、残業代等を下げ、全体としては手取りが減ってしまっているのと同じではないでしょうか。手取りが減ってお父ちゃんのお小遣いを上げることができるのですか?子どもの、お母ちゃんのお小遣いを上げることが出来るのでしょうか?

病院は今でも経営が厳しい状態ですが、今まで以上に支出を抑えなければならない状況に追い込まれます。また政府は、一時的に病院団体から批判を避けるためと思われますが、この9月まで病院に処遇改善のための補助金をだし、一斉批判を避けるという手法をとりました。10月以降は病院独自でその財源を確保しなければなりません。

今回の10か月の入院生活で、医師・看護師・コメディカルの方々の大変さを痛感しました。医師・看護師等の処遇は絶対に改善されるべきだと考えております。そしてその財源は、通常の診療報酬全体で支えるべきではないでしょうか。

しかし、政府、特に財務省は医療費が財政を圧迫しているとし、医療費抑制へと舵をきっています。医療費が国家予算を圧迫しているのは、先進国いずれも同じなのです。むしろ日本は、欧米より医療費を少なく抑えているという事実はほとんど国民に知られていません。またマスコミも、「コロナ」「コロナ」と馬鹿の一つ覚えみたいな番組ばかりしており、もっと本質的なこと、我々の生活を守る医療・医療行政・医療財政の真実を報道すべきだと思います。

医療費を削減する前に、まだまだ削減すべきところは多々あります。アベノマスクもそう、その処理にかかる費用も問題、誰も使わない役に立たない接触確認アプリ「COCOA」、不公平な「GoToキャンペーン」、中小企業などを支える持続化給付金事業での不透明な業務委託、国会議員の領収書のいらない文書通信交通滞在費、使う当てのない財務省の金地金保有問題等々、きりがないぐらい無駄なところにお金を使っているとしか思えません。

その場限りの対策ではなく、今こそ国民の安心・安全、そして将来ビジョンが見える施策を立ててもらいたいものです。