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新型コロナウィルス

第60回 全国自治体病院学会に参加して(No.36)

 さる11月10日、11日に沖縄県那覇市で開催された第60回全国自治体病院学会(学会長:沖縄県立八重山病院篠﨑裕子院長先生)に参加させていただきました。全国的に第8波の予兆も心配される中、学会関係者の方々の入念な感染対策により、盛会のうちに滞りなく行われました。待望の沖縄での開催、全国から参加された方々も予想以上に多く感じられました。

 私ごとですが、この学会にて、ポスターセッションにて発表をさせていただきました。演題名は「COVID-19による自治体立病院の財務収支へのインパクトの考察」、学会2日目の<病院経営>のブースにて発表させていただきました。学会中にお会いした何名かの先生方から、「演題発表されるんですね」と声をかけていただき、嬉しく思いました。

 さて、演題の内容は、地方公営企業年鑑で明らかにされている700強の自治体立病院の2019年度と2020年度の財務実績の比較を行い、新型コロナ対応により医業収益や医業費用にどのようなインパクトが発生したのかを実証検証するというものです。新型コロナ第1波から4波のあった2020年度に、大半の施設において医業収益が大きく減少し、同時に材料費や経費なども増加するという負のインパクトを受けていたことが明らかになりました。驚くことに、2019年度の経営実績が良好であった施設ほど負の影響も大きい結果となり、新型コロナ禍は通常の経営努力では対処できないレベルの災禍であったと考えられます。経営効率化だけを進めると、パンデミックのような不測の事態においては、病院界全体での損失が却って大きくなる可能性があり、経営状態を根拠とした病院統廃合や効率化偏重の制度改革への警鐘とも捉えられるのでは、という考えも述べさせていただきました。

 新型コロナによる病院経営への影響について、引き続き研究を進め、次回の大会でも発表できればと考えております。最後に、演題提出にあたり、多くの方々にご協力もいただきましたこと、改めて御礼申し上げます。

金子