病院経営に求められる継続的な課題

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n-25

フォーラム特別号

コロナウイルスとサプライチェーン

3月も終わろうとしている今現在も、国内は言うに及ばず、全世界でコロナウイルスのパンデミックが発生しています。その結果、わが国でも、学校の休校、会合などの自粛を受けて、経済活動自体が冷え込んでいる毎日です。新幹線に乗れば車両はガラガラ、タクシーに乗れば運転手さんたちから売り上げが半分になったという悲鳴ばかりです
中国と米国はどちらが感染源かという不毛な非難を繰り返していますが、いまこそ原点に戻って考えることがあるのではないでしょうか。このコロナウイルスの問題をきっかけに、日本という国の脆弱性が浮き彫りになってきました。我々日本人も、国の安全保障という問題を今一度真剣に議論すべき時が来たのではないでしょうか。
思い起こしていただきたいのですが、昨年2019年春には、抗菌薬の供給不安が表面化し、医療界に混乱が起こりました。その時の原因は、抗菌薬の原材料である化学物質を製造している中国の工場の爆発事故でした。その後昨年末から今年にかけて不安定ながらも徐々に供給不安を解消しつつあり、また3月27日には医薬品安定供給確保のための新しい関係者会議もスタートし、抗菌薬をはじめとするキードラッグの供給不安への代替策や薬価制度への提言など構造的な課題についての議論が期待されます。このような進捗があったところに来て、いきなりのこのコロナウイルス問題なのです。
コロナウイルス騒動に端を発したマスク不足も、マスクの原材料である不織布が世界的に中国一国に製造が集中していることが原因です。マスクの製造を政府は国内メーカーに増産要請をしていると発表していますが、原材料の在庫が尽きれば、製造することは不可能であるのは自明の理です。また、消毒液ですが、容器がほぼ中国製なので、市場から姿を消してしまいました。
日本の繁栄というのは、このような脆弱な生産基盤のうえに成り立っていた砂上の楼閣であることが、白日のもとにさらされたのです。経済的合理性を追求するあまり、国民の生活に直結する医薬品や食料品の自給率を下げた結果です。
国の安全保障の観点から、今一度国をあげて自給体制を見直すべき時ではないでしょうか。ほかでも述べてきましたが、安全保障という点からいえば、国防費の一部を割くだけで、抗菌薬の原材料などを国内に戻すことは可能であると考えます。
また、食料に関していえば、お米の自給率は97%あるので、あと少しの努力で100%の達成は可能でしょう。つぎに必要なのは大豆だろうと筆者は考えます。大豆からは味噌・醤油・豆腐など日本人の食生活に欠かせないものが作られていますが、なんとその自給率は6%しかないのです(1)
今年の2月22日に北海道士別市でLMCの地域交流会が開催されましたが、その士別市は国内での大豆作付面積は国内1位だそうです。ですが、残念なことに士別市の努力をもってしても国内自給率6%というのは、絶望的な数字と言わざるを得ません。日頃筆者は厚生労働省の無能無策ぶりを糾弾していますが、大豆の問題については政府と農林水産省に努力を促したいです。大豆も米と同じようにいったん政府が買い上げるなどして、大豆生産農家を保護するとか、いろいろな策が考えられるはずです。
観光立国とかいう馬鹿なお題目を掲げて浮かれている場合ではありません。景気に左右されるような観光などに国の行く末を預けるなど大馬鹿者のすることです。今回のコロナ騒動でも、海外渡航歴のある高齢者がウィルスを持ち込んできたことをどう考えるのでしょうか。このような世界的な非常時に、自己の欲望を満たすために海外旅行をする高齢者、またツアーを中止しない旅行会社は世に害悪を垂れ流す存在と言われても仕方ないのではないでしょうか。
故に筆者としては、観光ではなく物作り日本に回帰することを望みます。
3月30日の時点でも中国やインドにその原薬や原材料の供給を頼っている薬剤の供給停止の情報が入っています。
日本政府は早急にすべての安全保障にかかわる分野でのサプライチェーン展開の見直しと再構築に向けて、強力な指導力を発揮すべき時であろうと考えます。

(1) 総合食料自給率(カロリー・生産額)、品目別自給率等(PDF : 180KB)
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/attach/pdf/012-14.pdf
2020/3/27閲覧時)

 

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