今年もいよいよ歳の瀬である。歴史的な猛暑日の多さを記録した数か月前の記憶もすでにうっすら、時の経つのはこんなに早いのかとつくづく思いしらされる。
年末、医療の話題も駆け足で飛び込んでくる。高市内閣が補正予算案を決定。医療・介護等支援パッケージとして1.3兆円、このうち5,000億円強が診療に必要な経費に係る物価上昇の対応や医療従事者の賃上げを支援するものである。速やかに予算成立となり、医療機関にとって納得性のある配分と支給がなされるよう期待したい。加えて、12月は政府での診療報酬改定率が決定されるタイミングでもある。例年、薬価引下げ分を本体へという帳尻合わせのような見直しがされてきたが、今回は、医療の危機的な状況を鑑みた大胆な引上げの実現を期待したい。来年に向けて、事態の好転をイメージできて1年が終わることができるよう願う。
さて、グラフは、全国紙で「病院」と「赤字」というキーワードを入れて検索して抽出された記事数の変遷である。2010年代前半の医療崩壊が叫ばれた時代、2020年頃のコロナ禍のときよりも今年はそうした記事が突出して多かったわけである。その一方で、単純に赤字という事実ばかりを強調するメディアや、赤字はすぐさま医療の質の低下であるとか、心無い報道も多かったのは極めて残念である。不採算医療を含め、公的事業にとっての赤字は、一般の事業会社と同じように論じることはできない。病院の経営収支についても、もう少し本質的な議論が展開していくよう来年は期待したい。
