No.11
病院経営にとっての薬剤費(10)
残念ながら、一括交渉という手法に委ねて高い値引き率を獲得するというのは、公的病院にとっては高いハードルがある。たとえば、大阪の民間病院では経営トップの鶴の一声で取引企業の 選択や変更が可能な施設も多々あり、その結果としては他の地域ではでは考えられないような値引きが実現されているケースもある。しかし、公的病院、特に自治体立病院等は、色々な制約の中での交渉を余儀な くされている。突き詰めれば、経済的な合理性を取るか、公平性や透明性を取るかという難しい選択を強いられる。そして、公平性や透明性を担保するための手続き面を重視せざるを得ないという結果になること が一般であろう。
また、企業側も、自分達に都合のいい時には自由競争を望み、 都合の悪い局面では競争回避的な態勢を復活させる。本来ディーラーは、昔は、タケダ系や住友、三共といったメーカーと密接に繋がっていたのが、いつの間にか、各ディーラーとも全メーカーフルラインナップというお題目 を唱えるようになった。その結果として、メーカーに対する交渉力を失ったという状況に陥ってしまったというのが実際の経緯なのである。各ディーラーの決算において最終利益率が1%を割るという現実に直面して、ディー ラー幹部は改めて、自社の存在意義を問うべき時期にきているのではないだろうか。 続
フォーラムNo.76 再度の緊急事態宣言、そして延長の顛末に思う
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