K-17
診療材料の価格交渉
今回は、手術の原価を構成する<診療材料>の価格交渉についてお話しします。
このフォーラムでは、別のシリーズで医薬品の価格交渉を取り上げています。診療材料の価格交渉は、この薬価交渉と少し趣が違うということへの認識がまず大切です。
医薬品の交渉は、医療機関が購入している医薬品全体の値引き率の加重値に集約されます。価格交渉の目標や、「全国平均は?」といったときの指標には、こうした平均値が用いられています。つまり、医薬品は、個々の価格は当然ですが、それ以上に全体としてどうなのかが極めて重要になります(もちろん、フォーラムでも取り上げているように、最近、高額薬剤の採用が広がり、今まで以上に個々の薬剤にもスポットライトが当たるようになっています)。
このように価格の全体感で議論できる。だからこそ、卸業者に対する目標設定や評価が交渉プロセスの重要な要素になる。これが薬価交渉です。
一方、診療材料は、何と言っても、まずは、それぞれの単品の価格を問わなければなりません。その診療材料が採用された背景、診療科や医師と企業(メーカー、卸)との個別的な関係性など、様々な事情で価格は大きく変わってきます。つまり、全体から個ではなく、個々の商品の結果の積み上げとして、その施設の購買ポジションが形成されているので、一品一品の価格評価が必須になってきます。したがって、病院にとっては、個々の商品についての現状価格の相対感がなければ、具体的な交渉には結び付けにくいということになります。いわば、非常に、緻密な行動が求められるのです。
また、病院と対峙するプレイヤー(企業)も、医薬品とは異なります。医薬品の場合には、基本的にはフルラインナップの全国卸との取引が圧倒的ではないでしょうか。一方、診療材料の卸業者は、総合商社的な企業もあれば、循環器や整形といった専門領域に特化した卸も多く、どちらも病院にとって存在感があります。これらは、医薬品以上に容易に棲み分けが可能であり、どのように競争環境を作るかという点において、医薬品とは別な工夫が必要になります。
フォーラムNo.76 再度の緊急事態宣言、そして延長の顛末に思う
...詳しくみる
075-223-2260 |
075-223-2060 |
〒604-0042 |