No.21
病院経営にとっての薬剤費(20)
ここ最近、新聞や雑誌の紙面をにぎわしている、某製薬メーカーの臨床データ改ざんについての私見を述べてみたい。
今回の事件(あえて事件といわせてもらうが)の問題点は何であろうか。
各種メディアに掲載された議論を読むと、噴飯ものの話が多い。まず医師主導治験というと、世間の人はなるほどと思うかもしれないし、若手の医師等もそう感じてしまうかもしれない。が、一定の結論ありきにある種のデータが作成されるのは、一部の世界では常識である。製薬メーカーが将来的な薬の販売を意識して進めるためにやっているケースがほとんどである。
今回の問題点は、このデータを元にして発表された論文が、世界的に権威があるといわれているランセット等の医学雑誌に掲載された点にある。このことにより日本の医学界全体のレベル(研究及び臨床分野共)に全世界が疑問符をつけたことにある。これは一企業、一大学の問題ではなく、今後、日本の研究者、臨床家が発表する論文に対して色眼鏡で見られる可能性を医療関係者がどう考えているか、というところにこそ核心があると思う。
推理小説の犯人捜しではないが、自然な見方をすれば、企業に所属している人間が、自分の判断のみでそのような行いに手を染めるわけがなく、その結果によってもっとも利益を得る者が事態を導いたと考えるものである。
そして誰しもが思うのは、今回の事件は氷山の一角ではないかという点である・・・。 続
フォーラムNo.76 再度の緊急事態宣言、そして延長の顛末に思う
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