病院経営に求められる継続的な課題

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n-06

No.N-07

「私の独り言」のつづき

医薬品流通改善ガイドラインには「医薬品の価値」というキーワードが何度か出てきます。「医薬品の価値」とは、薬価で決められた価格だと私は思っています。ところが「医薬品の価値を踏まえた交渉」というワード、「医薬品の価値を無視した過大な値引き交渉」「医薬品の価値を無視した値引き交渉」は悪だとするような言い方で、それらの行為一切を慎むよう促されています。

結論として、「適正な」値引き交渉をするようにとのことですが、適正な値引き交渉とは、いったいどのくらいの値引き交渉が適切なのでしょうか?そうした基準は一切示されていませんが、ガイドラインというのであれば、本来はそれを厚労省が示すべきではないでしょうか。もっと言えば、厚労省は、適切な値引き交渉条件を医薬品ごとに示すべきではないでしょうか。

そうした指針がない現状、各施設ができることが、価格ベンチマークを頼っての交渉です。但しベンチマークで気を付けないといけないのが<最安値>です。最近は、総価での値引き率を引き出すために、異常な値引きが発生していることが散見されています。それに対し<中央値>は、市場実勢をある程度正確に反映した信用できる数字だと思っています。中央値を基準に交渉することに、とやかく言われる筋合いはないと思います。

また、厚労省は単品単価交渉を推進していますが、これも厚労省の言っていることとやっていることがチグハグではないかと思っています。診療報酬改定では、まず総価で医療費全体の増減を決め、その後に辻褄が合うような形で各々の増減幅を示しています(これが、果たして辻褄が合っているのかも疑問ですが)。そのくせ薬は総価ではなく単品単価で交渉するよう勧めているのです。このアンバランスに疑問を感じるのは私だけでしょうか(とは言え、私は薬の値段交渉そのものは単品単価ですべきであると思っています。最近のように高薬価で値引き率の悪い薬が多くでてくると、総価値引き率では判断できないと思います。また、率そのものよりも、薬価差益額が昨年と比べどうだったかを比較することのほうがより現実的だと考えます。)

この文章を書いている間に、2018年度の薬価改定率が発表されました。オプジーボは昨年2月に50%、そして今回改定で23.8%引き下げられました。やはり、厚労省の最初の薬価の決め方そのものに問題があったのではないかということを繰り返し強調したいと思います。企業としては、年度計画が大幅にくるったでしょう。製薬企業にとって見通しのきかないこの日本では、今後は新薬開発に力を入れなくなってしまうのではと危惧します。

2月、3月は、個人的な愚痴のようなフォーラムになってしまいました。来月は大きく視点を転じて、病院運営で今後必要となると思われることを書きたいと思います。

 

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