病院経営に求められる継続的な課題

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No.33

K-3

手術室運営の風景(その2)

前回のコラムのなかで、手術は他職種の医療スタッフによって成り立っていると書きました。病院関係者であれ、患者やその家族であれ、この文章を否定することはないでしょう。とすれば、今日、手術室の運営にチーム医療の考え方があるべきだと思うのも当然です。

しかしながら、手術室運営に関する議論の歴史をみると、必ずしもこれが当然だとは思われなかった時代も長くあるのです(実際に現在でも、ヨーロッパでは、医療職の独立性こそが必要と考える文化も残っています)。そして、チーム医療こそ大事だと言われる今も、誰が手術のマネジメントの中心であるべきか(つまり、経営学でいえば、リーダーシップを発揮すべきは誰かということです)。

改めて考えると、手術室に関与する医療スタッフは様々であるゆえ、一口にマネジメントと言っても、それぞれに望む方向性やアプローチの仕方は異なるのです。

欧米を例にとれば、古くから手術室のマネジメントや効率化に関心が高かったのは麻酔科医でした。彼らが、手術のスケジュール管理に関わる場面が多いこと、手術の最初から最後まで関わる立場であること、そして、(特に米国では)麻酔科医は病院に雇用されるケースが多い(一般の医師は異なる)などの理由があると考えられます。現在でも、彼らは手術室運営の効率化の重要な旗手です。

その後、病院が大規模化し、手術の件数も増えていくと、むしろ術場看護師が手術室マネジメントのリーダーシップをとるべきという考えが登場します。手技の複雑化や、入院が急性期病院の主たる役割となっていく過程と一致します。そして、今日では、経験ある医師こそがそうしたリーダーシップを発揮すべきだという論調が目立つようになってくるのです。手術において最も裁量をもつ、医師こそがマネジメントの中心人物であるべきという考え方です。

続く

 

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