病院経営に求められる継続的な課題

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n-25

No.N-29

COVID-19と医薬品

2月というのにある日は20度を超え、ある日は氷点下と気温が乱高下していますが(当研究所のある京都市にて執筆)、皆様いかがお過ごしょうか。
さて、中国・武漢市を中心とした新型コロナウイルス(COVID-19)が猛威を振るい、マスクの不足、家庭用消毒液の不足、経済の停滞など多岐に影響を及ぼしています。最前線に立つ医療従事者の方々には、ただただ頭が下がります。
以前、セファゾリンをはじめとした抗菌薬の供給問題を話題にしましたが、薬剤を製造するには、その薬剤の元になる物質「原薬」というものがあります。この「原薬」は以前にも申しましたがどこで作られているかご存じでしょうか。実は中国で製造されているものがほとんどです。このため、今回のCOVID-19の影響で原薬製造がストップしているという情報が入ってきています。
そのさなか、日本製薬団体連合会は2月7日に「医療用医薬品の供給調整スキーム」を策定しました。(※1)これは供給不安(スキームでは「市場シェア(数量ベース)30%以上の医薬品について、1か月以上の欠品が見込まれる事案」と定義)が発生した際に供給調整チームを立ち上げ厚生労働省と連携し、代替薬の在庫や出荷調整などを行い、安定供給を持続させようとするものです。
しかし、このような薬剤はそもそも、日本国内で製造するには採算が合わず中国で生産された原薬を使わざるを得ない状況が根本的原因にあり、供給不安に至っているのだと思います。なぜ採算が取れないのか?それはそもそもの薬価が安すぎるからです。日本の医療を守るために最低限必要な施策を国・厚生労働省が怠ってきたと言えるのではないでしょうか。現在、「基礎的医薬品」という考え方を確立する制度を試験的に導入していますが、安全性の高い原薬の確保を国主導で行い、日本の医療環境の確保をと願うばかりです。
さて、話は変わりますが、2月ということで薬の価格交渉はいかがでしょうか。
以前このフォーラムで、下期の価格交渉のポイントを紹介しましたが、その通り交渉は進んでいるのでしょうか?単品でいうと後発品の薬価の下がり方がひどく、また抗菌薬などや、上期と同額の薬価差益は得られないのではと思っていますが、先発品を含めた全体で上期と同額の差益は得られるようです。というのも、この2月の価格交渉で当初目標をオーバーする施設(ちなみにある施設では、上期差益確保ベースの99.7%を達成しています)が多数でてきています。もうひと踏ん張り頑張って、最後まで諦めず交渉してください。


※1:日薬連 「医薬品供給調整スキーム」策定 新型コロナで中国からの原薬供給不安に備え
(https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=68749 2020/2/19閲覧)

 

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