病院経営に求められる継続的な課題

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フォーラム15

No.15

病院経営にとっての薬剤費(14)

平成24年度末の薬価最終交渉は、近年稀に見る厳しい展開となった。営業利益の確保に必死なディーラーと、対前年値引き率からの下げを最低限に抑えたい病院との間で、3月の声を聞いてもなかなか妥結できない状況であった。

例年では早ければ1月に、遅くとも2月中頃には妥結していたことを考えると異例な事態である。原因はいくつか考えられるが、前回の交渉での失地をディーラー側が回復することに重点を置いてきたことが大きいのではないだろうか。 薬価は診療報酬改定時に下げられてきたが、前回、すなわち21年度から23年度の病院納入価では、卸側が自身の利益を確保できないという現実に直面したことが大きな要因と思われる。

その一方で、同じ時期にかけてメーカー側の利益が大幅にフォーラム15下がったという話はあまり聞こえてこないのである。前回の改定時に議論された新薬創出加算品も、まるでメーカーの既得権益の増大に貢献したとしか思えない。急性期病院において、 新薬創出加算品やオーファンドラッグの比率が近年ますます高まっていることをみると、今後の薬価交渉においても、こうした薬剤に対するメーカーの思惑が相当な影響を及ぼすと考える。

今後の展開としては、病院が薬価交渉の相手を卸であると考えている限り、満足な成果は得られないことは確実である。交渉担当者のみならず、医師、薬剤師も一丸となってメーカーに対してどのような圧力をかけるかが、卸との交渉の成否を決める時代に突入したといえる。 続

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