病院経営に求められる継続的な課題

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No.51

オプジーボをめぐる諸問題(続き)

今年最後のフォーラムとなります。今年はなんといってもオプジーボに明けくれました。このテーマは、ひとつの医薬品の話に止まらず、今後の日本の医療政策の根幹に関わる問題を内在しています。
まず、今までの薬価の決め方はどうなのか?日本発の医薬品の価格が英国の5倍もするという異常な決定に関わった人々の責任問題はどうなっているのか。
新聞等の報道でも小野薬品工業が悪者のようになっています。しかし、責任の最大の所在は厚生労働省にあると私は思います。
政府、与党は医療費の削減と原資確保のために高齢者(70歳以上)の医療費自己負担分(外来)の上限を月額12,000円から段階的に月額18,000円にするなどの内容で、関係部会で了承したとの報道が12月15日付の日経新聞などでありました。政府・与党は来年度の目標として医療費の自然増分を約1400億円削減することを目標としています(つまり、高齢者の自己負担は増加します。)
仮に、オプジーボが英国並みの薬価設定になっていたとしたら、約1,000億円の削減が可能であったのです。日経新聞などの報道では、この薬価設定については、厚生労働省が小野薬品工業から開発、研究に費やした金額などを聞き取り、協議の上決定したとあります。
厚生労働省の役人の目が節穴なのか、小野薬品工業側がしたたかなのかは、分かりません。が、その結果、国民の税金と健康保険料から1,000億円という法外な金額が、小野薬品工業の売上となったのです。1,000万人以上という高齢者の自己負担増を議論し、国民に新たな負担を強いるよりは、一企業へ流れ込む不当な利益の蛇口を閉めるほうが先決だと思うのはわたしだけでしょうか。
来年2月6日の全国自治体病院協議会の薬価交渉術の場においては、このテーマへの対策を中心に論じますのでご期待ください。   (続)



 

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