病院経営に求められる継続的な課題

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No.38

K-7

始め良ければ全て良し?

では、今回から、手術における幾つかの「ボトルネック」について考えていきましょう。ボトルネックとは、全体のプロセスの流れを悪くするような障害や制約です。
 手術の世界で、よく議論されるのが手術の開始、つまり1日の最初の手術です。その手術が時間通りに開始されるかどうかは、その後の手術が予定通りに進むかに大きな影響を与えます。プロセスにおける最初の遅れは次の遅れを呼び、ドミノ倒しのような混乱状態になる。これはおそらく、医療現場の経験であり、製造業でも同じようなことが言われます(日常生活でも‥)。
そして、(意外にも)最初の手術はよく遅れるということも経験知としてあります。患者やスタッフの到着の遅れ、機械の不具合等、朝一番の手術には不安要素が多くあります。加えて、各手術室に置いて手術の開始時間一斉になるのも、この朝一の症例です。
最初の手術の遅れは、その後のスケジュールを混乱させ、当然そうなれば、次の手術の患者への対応や家族への説明など、付加的な業務が一気に増えていきます。最終的には、最終手術の終わりは予定よりも遅くなり、当然残業の発生、さらには、翌日の手術の準備などにも影響が出てくるでしょう。つまり、目に見えない、様々なマイナス要因ももたらされます。
この手術開始は、手術管理の研究の対象となってきました。文献を読むと、30〜40%程度のスタート手術に遅れが発生しているとの報告があります。また、国によっては、各施設の手術の精度管理の指標として、スタート手術の遅れ(10分以上)を報告させています。
では、様々な実績データをもとに、開始遅れがその日の手術の終了時間や全体的な効率性にどこまで影響を与えているかというと、実証的には必ずしも確定的なことは言えないという結果になる場合が多いようです。少なくとも、30分程度の遅れぐらいでは、その日のスクジューリングの中でキャッチャプされるということのようです。しかしこれは、あくまで運営の時間的な側面から評価したもので、スタッフの疲労や現場の混乱などは加味しないという前提ですが。

 

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