No.16
病院経営にとっての薬剤費(15)
前回にも述べたように、今年3月末(平成24年度分)の薬剤の値引き交渉は例年以上に難航した。これを受けて25年度は、各病院とも対ディーラーではなく、対メーカーとの話し合いに重点をおく必要がある。各メーカーとも、建値制になっている以上、「価格交渉はディーラーと」というお題目で逃げているが、果たしてそれで納得していいのだろうか。
再販売価格維持制度という用語はご存知の方も多いと思われる。一部の薬メーカーのディーラーに対する価格チェックは、これに該当するような要素を多分に含んでいるのではないか。もちろん、法的にそうだということになれば、独占禁止法第19条の不公正な取引方法への違反である。
3月に開催された全自病の薬価交渉委員会の席上でも、ある市民病院の薬局長から「ディーラーが値を下げると、メーカーからクレームが入ってこれ以上値引きできないと云われるが、こんな現状は良いのでしょうか」という質問を頂戴した。原則ではあり得ない、もしくはあってはいけないことである。が、メーカーはディーラーへのインセンティブを人質に取り、ディーラーに対し有形無形の圧力をかけているのが実状である。全ての製薬メーカーがそうだとはいえないが、近年大きく売上げを伸ばしている抗ガン剤やオーファン・ドラッグを主力商品とするメーカーにこのような傾向がみられる様な印象をもつ。具体的な企業名の言及は差し控えるが、そのような状況が顕在化しているなか、病院側も交渉担当者のみならず、処方権を持っている医師等が中心となって、薬剤の採用の時点から注意する必要がある。
こうした認識に立つとき、メーカーへのヒアリングの重要性は今後ますます大きくなっていくのである。 続
フォーラムNo.76 再度の緊急事態宣言、そして延長の顛末に思う
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