病院経営に求められる継続的な課題

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No.58

共同購入の真の姿とは

前回のコラムでも触れましたが、医薬品の共同購入をはじめとして、病院も経営改善のためにいろいろな工夫をする必要に迫られています。
5月19日に厚生労働省で行われた、「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会(流改懇)」における卸側の中原委員と医師会鈴木委員との価格交渉のアウトソーシングについての意見交換は、非常に興味深いものでした。
薬剤に限らず診療材料、高額医療機器等、病院には購入しなければならないものが多数あります。にもかかわらず、自治体病院では担当者の異動が定期的におこなわれ、実効性のある交渉ができていないのが現実です。全国自治体病院協議会本部においても、病院経営改善支援のために、薬価ベンチマークの提供だけではなく、診療材料のベンチマークに着手しようとしています。
ただ、短期間に成果を得ようとして、あるいは病院の経営が切羽詰ってしまい、俗に言う価格交渉屋的コンサンルタントに外部委託するケースがあります。中原委員の発言は、この流れのなかで、価格削減した部分について多額の成功報酬を取るコンサルタント会社を指していると思えます。
病院の価格交渉で大事なことは、地元納入業者との信頼関係です。それを築くためには病院、企業との円滑なコミュニケーションがなければ成り立ちません。
病院、ディーラー、メーカーの3者の中で、実質的な価格決定権を持ち、それゆえに最も利益を得ているメーカーとの交渉なしに、弱い者いじめのようにディーラーに対し、根拠なく値下げを要求し、自社の利益を最優先に確保するコンサルタント会社に業務委託をするのは、病院の見識、品性の無さを問われるのではないでしょうか。
市場環境も考慮しない共同購入組織も同列であろうと考えられます。病院が集まり、何の根拠もなく購入総額が何百億円になるから何%引きにしろというのは、交渉ではなく恫喝です。
地域経済の核でもある自治体病院の担当者がそのような流れに与して、地域からの信頼を失われないことを祈ります。
共同購入については、遅くとも7月中には全国自治体病院協議会の医薬品の購入価格に関する検討会としてもパブリックコメントを発表する予定です。
                               (続)

 

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