病院経営に求められる継続的な課題

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n-24

No.N-24

業務委託のあり方の根本的な見直しを

以前のフォーラムNo.17「急変する委託企業の環境」で、給食業務委託企業の事例を紹介いたしました。今回は医療事務委託企業でも同じような事例を経験したことを紹介いたします。

・事例1
今年8月上旬、市人口約54,000人の市立病院で医療事務委託業務のプロポーザルに、アドバイザーとして参加してきました。ところがそのプロポーザルに応募してきたのは、長年その病院の医療事務を受託してきた一社だけで、他の企業は人材確保が厳しいという理由で参加してきませんでした。病院としては長年医療事務を委託してきたその企業に対しての評価は可でもなく不可でもなく、ただ長年委託してきた歴史があるため、それなりの信頼関係はあると信じてきました。ところが、そのプロポーザルでは、いわゆる「金太郎アメ」のような、どこの病院でも通用するような一般的な提案内容となっており、その病院の実情に合った提案は何一つありませんでした。また、受託金額も今までの金額から30%アップの見積りが提出され、まさに足元を見るような、とんでもないものでした。

・事例2
中部エリア(所在する市の人口は約311,500人)にある県立病院でも、ある企業に長年に渡って医療事務を委託していました。その病院は医事課のメンバーが優秀で、レセプトのチェックは病院職員がしっかり行い、請求精度の改善に努めていました。一方、委託企業には日々の業務、とくに受付・会計業務をしっかりこなしてもらえばと、期待していたのですが、委託職員がここ1~2年の間に数人辞めてしまったため、特に月曜日の会計業務には支障をきたし、待合ロビーが患者でごったがえしになっていました。その時間帯には、患者駐車場も一杯になるという状況。病院からは、事前に委託企業に対し人員の確保をお願いしていたのですが、人材確保が儘ならず、解決には約半年かかりました。今回の委託企業の対応に疑問を持った病院は、委託先の入れ替えも見据えて他の企業とのヒアリングを行ったのですが、どの企業も積極的でなく、全面入れ替えは人材確保が非常に厳しいという答えしか返ってきませんでした。

人員・人材を必要とする委託業務は、長年の付き合いだからと言って、その企業が大丈夫だと信頼できる時代ではなくなってきています。多角的な視点から病院運営の点検を行い、業務委託についても、将来に向けた見直しの選択肢を多く持っておく必要があります。
医療事務なら外来と入院で委託企業を変え、2社との付き合いをしておくとか、将来自前で医事業務を完結できる体制をつくるとか。患者給食なら委託・クックチル・自前方式とか、等々。業務運営の根本から考えなおす時期がきていると感じております。

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