病院経営に求められる継続的な課題

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S-4

フォーラムNo.S-4

国の安全保障

安倍首相は、国防の観点から憲法を改正し、自衛隊を正式な軍隊にすることを悲願しているようにお見受けします。しかし、現状の新型コロナウイルスの蔓延は自衛隊では守り切れないようです。
筆者も現行の自衛隊の存在を否定するわけではないですが、今は違うことに注力すべき時でしょう。いまの日本に必要なのは、最新鋭のイージス護衛艦やF35ステルス戦闘機ではないはずです。
マスク不足、医療従事者の防護衣不足が日本の医療を崩壊へと押し進めています。また政府は4月になって医薬品安定確保のために、原薬などの国内製造回帰へ向けた支援策を盛り込む方針との報道がありました。何をいまさらです。
2019年春に日医工の抗菌薬の供給不安問題が発生したときから1年たっているのです。この間の政府および厚生労働省はどのような対策(支援策ではない)を打ってきたのでしょうか。
某抗菌薬製造メーカーのトップに聞いたところでは、業界団体としてはF35戦闘機の購入金額程度の支援があれば国内回帰が可能であると厚生労働省に申し入れしたが、音沙汰なしとのことです。なんたる無策!
筆者にいわせれば、イージス護衛艦1隻分の建造費約2000億円を国が直接投入し、陸上自衛隊が使用している広大な富士のすそ野にある演習場または北海道、兵庫県の山間部にある演習場の一部を活用し、医薬品製造に必要な化学原材料や原薬を製造する工場を作るべきです。
国防が国民の生命や安全を担保するために論じられるのであれば、ぜひそうすべきです。国家管理のもとで原材料、原薬を製造し、それを必要とする医薬品メーカーがそこから供給を受けることにより、国民が必要とする基礎的医薬品の安定供給を図ることは、イージス護衛艦1隻の抑止力より勝るはずです。
“アベノマスク”も同様です。国会で答弁に立つ安倍首相の大きな顔の鼻と口をかろうじてカバーしているあのマスクのサイズは、何と言っていいのか、笑えてしまうのは私だけでしょうか。筆者も安倍首相に負けず劣らずの大顔なので、あのサイズで鼻と口をカバーできるか心配です。
国民には不評であるマスクの配布に使う費用が約440憶円もかかるとは何たる無駄遣いでしょう。
安倍首相のまわりには、このバカげた政策にストップをかけるだけの良識を持った側近はいないのでしょうか。440億円もの資金を投ずるのであれば、中国に製造の首根っこを抑えられている不織布の製造工場を作るべきでしょう。マスク、防護衣、手術用のドレープなどは不織布が原材料です。恐ろしいことに全世界で必要とされている不織布の約90%が中国で生産されているのです。
昭和から平成、令和へと続く時代に、日本と日本人はあまりにも不用意にコストだけを追求した結果、国の安全保障のベースになる核たる部分までも中国にゆだねてしまったのです。
新型コロナウイルスは全世界に広まりつつあります。TVなどで識者と言われるコメンテーターが「世界中が一丸となって立ち向かうときである」と綺麗事を述べてますが、寝言もたいがいにしてほしい。
4月の段階で中国が何をしているのかを日本人は決して忘れてはいけません。
マスクや防護衣の材料である不織布は通常時の25倍(2020/4/28時点の情報)に跳ね上がっているそうです。「世界中一丸となって」と言ったところで、新型コロナウイルスの発生源と目されている中国が、この非常時に相手の足元を見て、値を釣り上げているのです。
1日も早く基礎的医薬品や医療材料の原材料の国内回帰を目指さなければ、国民の生命・安全・健康は護れません。


2020.5.1
株式会社ヘルスケア・システム研究所
代表 中野 一夫

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