病院経営に求められる継続的な課題

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n-09

No.N-11

医薬品交渉の3つの視点

私ごとですが、平成30年6月18日、大阪北部を襲った地震にあいました。私が住んでいる吹田北部も、大きな揺れのあったエリアの一つです。屋根瓦が一部損壊し、ブルーシートを被せて過ごしています。7月5日から7日にかけては今度は豪雨で雨漏りを心配したのですが、幸い私のブルーシートのかけ方が良かったのか雨漏りをせずに済みました。早く瓦屋さんに来てもらいたいものです。また7月中旬からは記録的猛暑により全国で熱中症が多発、死者も発生しています。この日本どうなっているのでしょうか?
今回の一連の災害で被害を受けられた方には心よりお見舞い申し上げます。

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この6月、7月と、医薬品メーカーへのヒアリングを実施しています。前回お話ししましたように、各々医薬品メーカーに対して、薬価ダウンの影響率、そして流通改善ガイドラインで言われている一次売差マイナス解消へ向けての対策、流通当事者間での返品条件の取り決めの状況を確認し、そして今後、病院がディーラーとの価格交渉をどういった視点を持って進めるかについて、メーカーに説明しています。

交渉における3つの視点

1.三方一両損の視点

  • 病院に納入している医薬品の薬価改定による影響率を3社、医薬品メーカー・医薬品ディーラー・病院で均等に分かち合うという視点。
    例えばAメーカーがB病院で納めている医薬品の薬価が、昨年に比べ6%下がっているとしたら、メーカー、ディーラー、病院それぞれ2%を受け持ち、それぞれが均等に薬価ダウンを受け入れるという考えです。

2.値引き率ではなく薬価差益額重視へという視点

  • 高薬価な新薬が次々と上市される中、それを採用すると医薬品の購買額は膨らみ、一方値引き率はどうしても悪化します。しかし、薬価差益額が昨年度並みにあれば良しとする視点です。

3.ベンチマークの中央値を基準とする視点

  • 厚生労働省のガイドラインではベンチマークを使用した交渉は悪のように言っていますが、それでは適正価格はいくらなのでしょうか。厚生労働省、医薬品メーカー、医薬品ディーラーに伺っても答えてはもらえません。それでは病院は何を指標にして交渉すればいいのでしょうか。やはり信頼のおけるベンチマークを使用するしか方法はないのではと思っています。但し、ベンチマークの使い方に注意が必要です。ベンチマークで得られる情報には、最安値、中央値、平均値、最高値等がありますが、最安値には異常値がよくみられるからです。即ち厚生労働省が言っている過剰な値引きが散見されているのです。ベンチマークで一番信頼性が高いのは中央値だと我々は考えており、中央値を基準にした交渉が一番いいと考えております。

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医薬品メーカーヒアリングにおいては、上記の3つの視点をもってディーラーと交渉していくと伝えています。また、この3つの視点について、医薬品メーカーの意見を伺っておりますが、今のところ意見は出てきておりません。
以上、各施設においても、これら3つの視点をもって今後の交渉に当たっていただきたいのですが、今年度は交渉の進み具合が非常に遅くなっています。メーカーもディーラーも様子見をしているような感がありますので、妥結の時期には十分気を付けて下さい。

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