K-11
ボトルネックの解決策(2)
手術室で起こる<ボトルネック>を解消するための改善策のお話の続きです。手術室の業務改善、例えば、
・緊急手術用に手術室の一室を常時確保しておく。
・緊急手術の手技を予め想定しておいて、手術材料のセット組をしておく
・業務工程を減らすディスポ製品を採用する
・実際の手術に関わる時間や難易度を考慮した予約枠の改善
などはどの施設でもよく実施されているものです。よくよく考えてみれば、これらは全て、ボトルネックをいかに解消するか、ということから生まれたアイデアと言えます。
また、ボトルネックの改善策として、必ず登場してくるのが、現場スタッフのコミュニケーション力の向上です。スタッフ全員が、業務の進行状況や問題を適切に共有できれば、チーム行動が調和し、皆が同じ方向に向けて問題解決を進めていくことができます。オーケストラで、指揮者(リーダー)がきちんと指揮棒を振り、演奏者(チームメンバー)がそれを見て演奏するということ、これがコミュニケーションの果たす役割の1つです。
イギリスで、手術室で流れるBGM(音楽)の手術室運営への影響を検証した研究があります(Weldon, et al, 2013, Communication in the operating theatre. British Journal of Surgery)。
これによれば、50%を超す手術で音楽が流れているとのこと。ところが、時には音量が非常に大きくなることがあり、かえって手術スタッフの業務を妨げているのではないかということを問題にしています。
BGMが流れている手術とそうでない手術とでは、結果としては、音楽が流れているケースで、手術スタッフの間で同じ質問や返答を繰り返すケースが有意に増加しており、そのこと自体が時間的なロスと心理的なストレスに繋がっているという結果が得られました。そもそも、手術室で音楽をかけるということは、医師が緊張を和らげ、かつ業務への集中度を高めることが目的でした。しかし、時と場合によっては、それがチーム全体としては業務の流れを妨げることもあるということです。
ボトルネックの解消策においても、それがもたらすさまざまな効果を検証しておく必要があります。
フォーラムNo.76 再度の緊急事態宣言、そして延長の顛末に思う
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