病院経営に求められる継続的な課題

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No.49

オプジーボの問題

平成28年度上期の薬価妥結状況については、現在、集計・分析中ですので、次回までお待ちいただきたいと思います。
ということで今号も前回に引き続きオプジーボの話を中心に。
前回も厚生労働省の無策や、想像力の欠如について書きました。世間でも9月から10月の前半に日経新聞やTVでもオプジーボについての記事や番組が多く見られました。
いずれも論点としては、このような高額の薬剤が今後発売され続ければ、日本の財政は医療費(特に薬剤費)によって破綻するので、何とかしなければという内容です。誠にもってその通りなのですが、私は少し視点を変えて論じてみたいと思います。
現在、問題となっているオプジーボですが、この薬剤が急激に処方されていることによって、もっとも利益を得ているのは誰かという点です。第一には、この薬剤によって一定の治療効果のあった患者さんです。これは、医療の基本からして当然としても、忘れてならないのは、この薬剤の製造メーカーである小野薬品が、法外な経済的利益を得ているという事実ではないでしょうか。
厚生労働省は遅まきながら、オプジーボの薬価引き下げをする方向で中医協と協議しているようですが、その対応は時期を失しているといわれても仕方ありません。
一方で、薬価制度に守られて莫大な利益を上げている小野薬品は、9月の上期交渉の中でもまったくの無反応、無回答でした。
適応拡大によって、その想定される市場が何十倍にも広がり、それによって不当に(私にはそう思える)得た利益を社会に還元する意思を全く見せない企業を許していいのでしょうか。
外資企業であるギリアド社ですら、全国統一価格という手法を使い、2%強の値引率での還元を医療機関に対して実施したことを考えれば、日の丸メーカー応援団を自負している私にとって、小野薬品の姿勢は許しがたいものです。
これから下期、年度末に向け各病院が薬価交渉を行うにあたり、自社の利益しか考えず、また市場(病院)の評価に対して無神経でいられる経営幹部に率いられている企業に対して、強烈な反撃を加えるべきでなはいかと考えます。
具体的な方法論については平成29年2月にある全国自治体病院協議会の勉強会などで発表していくつもりですので、各病院の方々もぜひ参加していただいて、日本の医療制度を守るために力を合わせていただきたいと思います。

 

                              (続く)





 

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