病院経営に求められる継続的な課題

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フォーラム特別号

医薬品サプライチェーンの危機

2020年6月11日の朝日新聞朝刊に「薬の供給目詰まり」という記事がでています。一読すると意味深い記事と感じるかもしれませんが、私に言わせれば問題の本質を分かっていない素人が、いろいろな所(特に企業)に問い合わせをして、うわべだけをなぞった記事です。
この記事を担当した朝日新聞の真海喬生・江口英佑両記者には、ぜひとももう少し深く掘り下げて問題の核心を突く記事にしていただきたいです。天下の朝日新聞が問題の核心を突けば、国民も事の真相を理解できるであろうし、その場かぎりの対応をしている政府・厚生労働省も尻に火がつき、もう少しましな対応になるでしょう。
参考程度に問題点を指摘させていただきます。記事中にジェネリック原薬の輸入先という表があります(表1)。これを知らない人がみると、原薬の供給元が複数あるので大丈夫だと思うかもしれません。


(表1)※

2019年初頭に抗生物質の供給不安が発生し病院にも危機感が走ったのですが、この時の原薬供給国はイタリアでした。表中では第3位です。  
しかし、薬剤は出発物質である化学的に製造された原末から原薬を作るのです。原薬の輸入先が表の用に5か国あったとしても、その原薬を作るための原末は世界全体の供給の90%を中国の化学工場に頼っているのです。ということは、「中国コケたら皆コケた」になるのです。
報道というのは根っこまで調べて報道するべきであると私は考えます。厚労省や経産省が補正予算でそれぞれ確保した、国内生産回帰を促すための30億円程度の設備投資の補助では何とかなるものではないのです。国民は"GoToキャンペーン"の1兆7,000億円のほうが、抗生物質の安定供給より大事だと考えるのでしょうか。

※2020年6月11日 朝日新聞 朝刊 7面 「薬の供給、目詰まり 海外依存の原料、輸入に遅れ 在庫や代替薬でしのぐ」 より引用

 

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